私の信州百峠は、自分の運転(車やバイク)で到達すること(交通機関や自分の足ではない)を旨?としていますが、唯一の例外として南アルプスを貫く南アルプス林道の北沢峠があります。
この林道は一般車両は通行不可、伊那市の運営するバスでしか行けません。

なぜか? この林道は以前南アルプススーパー林道と言われました。
高度経済成長期、この林道やビーナスライン、上高地への車の乗り入れは、自然保護の高まりの中、強固な反対運動にさらされました。
運行開始はしたものの、反対運動や相次ぐ土砂崩落もあり、妥協点としてここでは指定交通機関しか乗り入れられないことになりましたが、今となっては喜ばしいことです。

このバスの運行開始を待って、ゴールデンウイークの中、5月3~4日にかけていくことにしました。
がッ! 重要なことを見過ごしてバスの始発点にある仙流荘を予約してしまいました。
伊那市長谷の仙流荘
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確かにバスの運行は開始していましたが、北沢峠までの運行は6月15日から。それまでは6,5km手前の歌宿までという記載を見過ごしていました。
気づいたのが出発前日、今更キャンセルはできまいということで決行しました。

南アルプス林道見どころ
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仙流荘バス営業所
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営業所で情報収集。
歌宿から北沢峠までは6,5kmの坂道を登っていかねばなりません、片道2時間はかかります。
12時10分発のバスで歌宿着が13時05分、16時15分歌宿発の最終バスには間に合いません。

営業所の方にも相談した結果、
①歌宿の先にある鋸岳の名所鹿窓が遠望できるところまで登る
②仏像構造線の唐沢露頭へ下る
③今が見頃のシナノコザクラを探す
④幕岩、白岩を見る          
以上の目的を決めてバスに乗りました。①以外は下りなので私の体力でも大丈夫。

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鷹岩トンネルを過ぎ、
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戸台川を渡り
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右手には仙丈ケ岳を望んで、バスはどんどん高度を上げていきます。
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その先には道路の崩落地
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ここの工事のため、連休明けの8日~26日までバスは運休です。

歌宿につきました。
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バス停
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ここから約1,5km、鹿窓を発見するために登ります。
左手にはいかにも険阻な鋸岳が迫ってきます。
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崩落が手に取るようにわかる中ノ川乗越、乗越といえば峠も同義ですが、こんな峠には行きたくない。
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正面には甲斐駒ヶ岳が近づいてきます。登りもここまではそう気になりませんでした。
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それでも重装備の登山者はふうふう言いながら登ってきました。
鹿窓案内
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中央の三角錐右下に鹿窓が見えますか? 私の裸眼では無理でした。
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案内にはこう記されていました。
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ここからは下り一辺倒。風景を見ながら、春の高原の空気を満喫しながらぶらぶらいきます。
土砂で満杯になった砂防ダム
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深くえぐられた戸台川を右に見て、
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小百合沢の延命水
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そしていよいよ仏像構造線唐沢露頭に近づきます。
露頭手前の洞門の屋根にはうず高く土砂が積もっています。
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洞門内部
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洞門の下手から見上げると
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凄まじい景観です! 洞門上部は露頭の東側、砂や泥の脆い岩盤で崩落。
左が東、右が西側、東の脆い岩盤と、西の頑丈な石灰岩の岩盤の比較が分かります。
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案内板には、この構造線が山梨側まで連続しているとあります。
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ここには糸魚川静岡構造線が走っていますが、この断層も大きな造山活動の一環でしょう。
今でも南アルプスは年間4mm高くなっています。

そしてありました、シナノコザクラ。アルカリ性の岩盤に咲く可憐な花です。
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幕岩と
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反対側、林道の上にそそり立つ白岩
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その案内板、400m以上の深さに切れ込んだ谷を隔ててはいるものの、本来は連続していた岩盤だったことが分かります。
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白岩で15時15分歌宿発のバスが下ってきました。
このバスは北澤峠⇒戸台大橋間はどこでも乗車、下車ができるということで、ここで拾ってもらい帰路につきました。
この日歩いた地図
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登りと下りを合わせて7~8km程でしょうか。結構疲れましたが、普通ならバスの車窓から流れる風景として見るだけの場所をじっくり観察できて、思いがけない散策に満足でした。

そして宿泊した仙流荘では、思いがけない旧長谷村の埋もれた歴史を垣間見れる本をゲット。
「藍深き湖に映え(美和ダム完成40周年記念写真集)」
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思わず手に取りましたが定価が書いてない、しかし2冊並んでいます。
売ってくれない? と交渉。旅館の人も戸惑っていましたが、最初1000円から交渉、写真集だから3000円位はするでしょう、とは言われましたが、2000円で交渉成立しました。

上の写真は現在(実際には平12年)の美和ダム,
そして美和ダムが作られる前、昭和30年頃の水に沈む前のダムから上流、溝口上河原から黒河内平集落周辺の景観。
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地図を参照しても今では美和ダムの底に沈んでしまった田畑と生活がありました。
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今日現在の黒河内平集落付近は、その後の膨大な土砂によって完全に埋もれてしまいました。
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美和ダム建設は、暴れ三峰川、暴れ天竜を治めるための国策事業でしたが、自然の猛威は仙丈ケ岳や甲斐駒ヶ岳、鋸岳西面の膨大な土砂流失によって再び埋もれてしまったのです。
自然の前では人知を尽くした巨大ダムも、あっけなく埋もれてしまうのですね。
三峰川、戸台川合流点の今日。
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4日は鹿嶺高原に上り、
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伊那谷の景観を満喫
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鹿嶺高原地図
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高遠の「ますや」で1j時間半並んで、高遠そばと五平餅、そしておたぐりを満喫して帰路につきました。
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