20年前から行ってみたいと思っていたお店。
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東京、上野は池之端、100年以上の歴史を誇るしゃも鍋の『鳥榮』

お店の人が温かく迎えてくれる玄関から二階の三畳間へ、階段を登る際に聞こえてくる『トントントン』という包丁のリズム、これはつくねを叩く音。
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三畳間は楕円のちゃぶ台と炭が赤々と熾った台があるだけ!
何とグラスや箸は座布団の前、畳に直置きです。
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女将さんが飲み物の注文を取りに来ましたが、メニューは瓶ビール、熱燗、ウーロン茶のみ。
ちなみにこのお店、ご主人と女将さん、息子さんともう一人の4人でやっているそうです。

炭火に鉄製の鍋を置いて、いよいよ主役の鶏肉登場!
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モモ肉、ムネ肉、肝、砂肝が端正に切られて盛られています、あとはねぎと焼き豆腐のみ。

肉とねぎ、焼き豆腐を半分ほど湯の中に入れてしばし。
たっぷりの大根おろしに醤油をかけただけ、それに肉を付けて口の中へ。
美味い! あっさりしているが絶妙な柔らかさと控えめな肉の味。

肉を堪能したらそば猪口の中に塩を極少量入れたものが出てきます。
湯だと思ったのは何と鶏スープでした。肉を入れても灰汁は皆無、スープはあくまで澄み切っています。そのスープを猪口にとって飲んでみると、鶏だしだけの充分なうまみが名店らしさでしょう。

そして有名なつくね。
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女将さんから製法を伝授? 鶏肉を包丁で細かく、粘りが出るまでたたきます。そこにねぎを加えてまたたたき、たっぷりの鶏卵を入れてさらにたたいて出来上がり、卵の黄身を真ん中に置いて出てきました。

木杓子ですくって優しくスープの中へ。
ふんわり柔らかく、優しく淡白な味は流石!
つくねを半分ほど食べたらお腹がギブアップ、でもしばらく話をしている間にお腹も微妙に空いてきます。そして完食!
畳に直置きの理由も判明、炭火のそばにグラスなどを置くとすぐにアッチッチ! 持てないくらいに熱せられてしまいます。

かと思ったら最後にご飯。
つくねを浮かべたあとのスープはさすがに灰汁?が出ています。
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女将さん曰く『これは灰汁ではないよ、つくねに入れた卵だよ、すくいとっちゃだめ、スープと一緒にご飯にかけて食べなさい』
まずは大根おろし醤油で一膳、塩だけでもう一膳、お漬物も美味しく全て完食!
鶏だけ、鍋一つでこんな微妙な、そして美味しい料理を演出できるなんて凄い!の一言です。

帰りに帳場の奥を覗くと
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昔懐かしい電気を使わない、氷だけで冷やす冷蔵庫。これも完璧にメンテナンスされています。
鶏肉だけはここへ入れるそうです、電気とは違って素材を乾燥させない冷蔵庫です。
わが社も昔、私が幼少のころには使っていました。

その後上野から浅草へ、ジャズバーで歌手さんと
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隅田川から夜桜と夜スカイツリー見物
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20年間の思いが開花した一夜でした。