信大のプロフェッショナルゼミ第2講、今回は箕輪町、萱野高原での開催です。
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私にとって初めての場所、萱野高原という地名も初めて聞きました。
箕輪町から東の山地へ分け入っていきます。道もどんどん細くなって、この先大丈夫? と不安になります。
水芭蕉の群生地もあるという高原です。
今回の会場は『かやの山荘』
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流石高原というだけあって箕輪の町から中央アルプスまでのパノラマが広がります。
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今回の講師陣、
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午前中はこの山荘の管理人であり長野県のきのこ鑑定士の伯耆原さんのお話し、御年82歳だということですが、日に2~3回は山に入らないと気が済まないという元気さです。

『美味しいきのこの現状』というテーマです。
私たち受講者の程度を推し量って初級クラスのお話でした。
まずきのこの種類は4000種、この高原には現在826種のきのこがあって食用は100種ほど、ことしはコウタケ、コムソウは豊作、あとは不作だそうです。
外人が松茸を嫌う原因は、香りが彼らにとっては軍靴の匂いに感じるから。

毒きのこは95種あり、毒の種類は水溶毒(お腹が痛くなる等)、神経毒の2つがあり、水溶毒は塩漬けなどにすれば食用にもなるということでした。
初めてのきのこを試す場合、噛んでみれば分かるということ、舌に違和感が感じられたら吐き出す、飲み込まなければまず大丈夫とのこと、でしたがそんなことできるか?! また傘の真ん中が凹んでいるきのこには毒キノコが多いなど。

きのこが生えるところは山の南から東にかけての山肌、そこに植わっている樹種、日光の射し加減、風の通り具合、腐葉土の在るなしによって生えるきのこが変わってくる、そんな状況を肌で感じるようになればきのこの在りかが見えてくるそうです。

そしてお昼には
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きのこ汁をいただきました。

午後からは箕輪町の地域おこし協力隊の橋本さんから『萱野高原の環境を考える』ということで講義とフィールドワーク。

環境というフレーズは幅と奥が広くて難しいですね。
まずは環境の生産者➡それを食べる一次消費者としての虫など、➡二次消費者としてそれらを食べるカエルや蛇、➡それを食べる高次元消費者としてタヌキや猛禽類、➡その上に人間、昔はそこに日本狼がいたが絶滅したのも鹿や猪が増える原因になったこと、➡それらが死んでしまうと今度は土中に居る分解者の出番。
このサイクルのどこかが狂ってしまうと自然環境がいびつになってしまう。
人が及ぼす影響は①里山減少 ②森林の荒廃 ③外来種の持ち込みと増加 ④資源の乱獲等 
また景観維持(観光化)と自然環境維持の矛盾

人が心地よく生活することと自然環境の維持の間には悩ましい矛盾があることをつくづくかんじました。

萱野高原を散策してのフィールドワークに出発しました。
この高原は標高1200m、本来は雑木林だったところに、本来植わっていなかった白樺を景観のために?人が植えました。
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そんな白樺も自然の立地でなかったために子孫を残せず、白樺の寿命(60年位)で淘汰され、あと20年くらいすると
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こんな赤松に地位を追われるのではないか! というお話に『なるほど』

江戸時代に来日したシーボルトが採取したこあじさい
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これがヨーロッパで改良されて逆輸入され、今のあじさいになったそうです。

天照大神が信濃に来て、箕輪の盆地を見渡したと伝えられる国見の岩
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先生が指摘してくれなければ気づかなかったまむし草
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名前のようにまがまがしくて、実際猛毒があるそうです。

最後に1人5枚ずつ落ち葉を拾って皆でゲーム。
先生からテーマ『いちばんカラフルな葉』とか『葉っぱの中の数字を見つける』をいただき、全員の中でそのテーマに最もふさわしい葉っぱを出した人へ他の人の葉っぱを進呈、という他愛のないものでしたが、良い年をしたおじさん、おばさんが結構楽しくやりました。

結論として、自然環境は人間がなんとかしてやるという対象ではなく、自然が自然の力でなんとかなっていくというもの。50~60年間、最低限の援助をしながら自然の成すまま(自然のサイクル)にしておくことが肝要。実際はその間に人間がいらぬお世話で手を出してしまうかも。

でもこれって人が育っていくことと同じじゃないか! 人が育つには『その気になる』ことが肝要、自然も同じだ!ということを気付いたことは大きな収穫でした。
人間だって自然の一部ですものね。

帰りに遠回り、
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箕輪ダムというのがあるんですね、立派なダムで驚きました!